呼吸器内科専門医の間質性肺炎ブログ

間質性肺炎を専門とする呼吸器内科専門医。もっと間質性肺炎を広く正しく知ってほしい。患者さんやご家族の方、間質性肺炎診療にかかわる医療従事者の方への情報提供を目的としたブログです。

【保存版】抗線維化薬とはどのような薬か。ピルフェニドン、ニンテダニブについてまとめます。

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現在、抗線維化薬として、ピルフェニドン(Pirfenidone、商品名:ピレスパ)ニンテダニブ(Nintedanib、商品名:オフェブ)の2種類の薬剤が承認されています。

これら薬剤は、特発性肺線維症(IPF)の治療薬として保険収載され、これまで臨床使用されてきました。

さらに、最近では全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対しても抗線維化薬としてニンテダニブが承認され、話題となっています。

 

この記事では間質性肺炎の治療薬である抗線維化薬についてまとめています。

 

抗線維化薬の歴史

特発性肺線維症の治療戦略では、2008年までは、

  • 軽症(重症度ⅠorⅡ)では90%近くの方が経過観察され、
  • 重症(重症度ⅢorⅣ)でも37%の方が経過観察される一方で、56%がステロイドや免疫抑制剤の治療を受けていました。

その後、2008年に、特発性肺線維症(IPF)に対する初めての抗線維化薬として、ピルフェニドン(商品名:ピレスパ)が承認されました。

その後、ピルフェニドンの臨床使用も徐々に増加し、2013年ごろまでには、重症度にかかわらず約20%程度の方でピレスパが用いられるようになっています。

Bando M, et al. A prospective survey of idiopathic interstitial pneumonias in a web registry in Japan. Respir Investig 2015;53:51–9.  

 

さらに、2015年には第2の抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)が承認されました。

 

同年の特発性肺線維症(IPF)のガイドラインでは、ピルフェニドン、ニンテダニブともにはじめて「使用を条件付き推奨」と記載されています。

Raghu G, et al. An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline: Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An Update of the 2011 Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med 2015;192:e3–19.) 

 

その後、さらにオフェブは

  • 2019年に、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患
  • 2020年に進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)

に対して適応が拡大し、現在に至るまで幅広く臨床使用されています。

 

ピルフェニドン(Prifenidone、商品名:ピレスパ)

ピルフェニドン(商品名:ピレスパ)は1錠200mgの内服薬です。

1日3錠分3毎食後、から内服を開始し、最大で9錠分3毎食後まで増量できます。

実は、日本で世界に先駆けて発売された薬剤であり、発売からすでに10年以上が経過しています。

 

ピルフェニドンの作用機序は実はあまりわかっていません。

肺の線維化に関わるトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)や血小板由来増殖因子(PDGF)などの産生抑制による抗線維化作用や、抗炎症採用、抗酸化作用などが考えられています。

 

特発性肺線維症(IPF)に対するピルフェニドンの効果として以下のような試験が報告されています(以下は各試験の結果へのリンクです)。

 

ニンテダニブ(Nintedanib、商品名:オフェブ)

ニンテダニブは1錠150mgもしくは100mgの内服薬です。

1日150mgを2錠分2朝夕食後、から内服を開始し、副作用の程度によって100mg2錠分2に減量して使用します。

  • ピレスパは、少量から徐々に増量する導入方法でしたが、この点は内服方法として最も異なる点です。

 

肺の線維化には線維芽細胞という細胞がかかわっています。この線維芽細胞の表面には、

  • 血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)
  • 線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)
  • 血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)

が存在し、これが刺激されることで線維芽細胞が活性化し、肺の線維化が進むといわれています。

ニンテダニブはこれら受容体を選択的に阻害することでマルチキナーゼインヒビターとして働き、その効果が期待されています。

 

特発性肺線維症に対する効果

特発性肺線維症に対するニンテダニブの効果として、以下のような試験が報告されいます(以下は各試験の結果へのリンクです)。

 

全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対する効果

全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの効果として、以下のような試験が報告されてます(以下は各試験の結果へのリンクです)。

 

進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対する効果

進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの効果として、以下のような試験が報告されてます(以下は各試験の結果へのリンクです)。

 

抗線維化薬の副作用

ピルフェニドンの代表的な副作用である日光過敏症ニンテダニブの代表的な副作用である下痢症についてもまとめていますので、ご覧下さい。

 

 

これら薬剤が適応となる代表疾患である特発性肺線維症(IPF)については、以下の記事もご覧ください。

 

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(最終アップデート:2022年04月08日)